厚生労働省の「令和7年度雇用均等基本調査」の結果によると、男性従業員の育児休業取得率が過去最高の50.9%(前年比+10.4ポイント)になりました。一方、女性従業員の取得率88.3%とは依然として大きな開きがあります。産後パパ育休や出生後休業支援給付金など制度面の支援が進んでいるものの、「共育て」に向けては企業側の環境整備が一層必要と言えるでしょう。本稿では、子育て世代の従業員の仕事と育児の両立に関する意識調査の結果をもとに、「共育て」を一層進める上で企業に求められることを紹介します。

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1.子育て世代の仕事と育児の両立に関する意識

在宅で仕事をしながら子どもと過ごす親の様子(仕事と育児の両立のイメージ)

2026年7月に厚生労働省が公表した「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」では、回答者全体の70.2%が「共育てはこれからの時代に必要な考え方だと思う」と回答しました。また、子どもがいる人、または将来もつことを希望する人の58.0%が、双方が同じくらい主体的に子育てに関わることを希望しています。

子どもと配偶者・パートナーがいる社会人では、希望する分担割合は「5対5」が38.4%で最多でした。一方、実際の分担を「5対5」と回答した人は20.8%で、希望と実態の間に差があることが窺えます。

このように、若年層を中心に、育児は一方の親だけが担うものではなく、夫婦・パートナー双方が主体的に関わる「共育て」が求められています。一方で、希望する育児分担と実際の状況には差があり、共育てを実現するためには、仕事と育児を両立できる職場環境の整備が重要になります。

また、子どもがいる社会人のうち、自分の職場を子育てと両立しやすいと感じる層では、現在の職場で働き続けたいと回答した割合が78.0%となり、両立しにくいと感じる層(33.1%)を44.9ポイント上回りました。さらに、仕事と育児の両立に積極的に取り組みたいと考える若年層では、「両立できる環境があればキャリアアップしたい」と回答した割合が64.7%となり、回答者全体(42.8%)より21.9ポイント高い結果となりました。

仕事と育児を両立できる環境整備は、従業員の定着を支えるだけでなく、意欲を持って働き続け、キャリア形成を目指すための基盤にもなります。

子育て中の人が企業等に求めることについては、「業務量の適正化」「上司・管理職の理解促進」「長時間労働等の削減」「制度を利用しやすい雰囲気づくり」「家事・育児分担の見直しに関する支援」などが上位に挙げられています。制度面の整備に加えて、管理職や周囲の従業員を含め、職場全体で支え合える環境づくりを進めることが、「共育て」を実現する上で大切な取り組みといえるでしょう。

2.「共育て」に向けて企業に求められること

「共育て」を進めるためには、男性従業員の育児休業取得を促進するとともに、取得した従業員を職場全体で支える仕組みづくりが必要です。

特に中小企業では、一人の従業員が担当する業務範囲が広く、育児休業取得者が発生した場合に、周囲の従業員へ負担が集中することがあります。そのため、育児休業を取得する従業員への支援だけではなく、業務を引き継ぐ従業員への配慮も重要です。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  • 業務内容の整理とマニュアル化により属人化を防ぐ
  • 複数の従業員が対応できる体制を整える
  • 育児休業取得前に業務の引継ぎや分担を調整する
  • 管理職が取得予定者と早めに相談する機会を設ける

こうした取り組みは、育児休業への対応だけでなく、突然の退職や長期離脱など、さまざまな人材リスクへの備えにもなります。

また、育児休業取得者の業務をバックアップする従業員に対して、手当や賞与等で処遇する仕組みを設けることも、職場全体で支え合う意識を高める一つの方法です。その場合、両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)などの活用を検討してもよいでしょう。

3.さいごに

「共育て」を進めるためには、育児休業制度への対応だけではなく、従業員が安心して働き続けられる職場環境を整えることが重要です。

中小企業にとって、人材の確保や定着は今後ますます重要な経営課題となります。従業員が仕事と家庭を両立しながら活躍できる環境を整えることは、働きやすさの向上だけでなく、企業の持続的な成長にもつながります。

一方で、両立支援の取り組みを進める際には、法改正への対応だけでなく、自社の業務体制や従業員構成に合わせた仕組みづくりが必要です。そのためには、現在の制度や職場環境を見直し、自社に合った両立支援のあり方を検討することが重要です。その際には労働社会保険諸法令の専門家の社労士がお力になれますので、ぜひ弊所までご相談ください。

※本稿の調査結果は、厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」および「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」(2026年7月公表)より

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