連日の猛暑が続く8月。「なんだか体が重い」「集中力が続かない」といった夏バテ症状に悩まされる従業員の方が増えていませんか?
実は、職場での熱中症死傷者数は過去最多の1,803人(2025年)を記録するなど、猛暑による健康被害は深刻な社会問題となっています。これに伴い、企業における熱中症対策の義務化も強化されています。
今回は、法改正で企業に求められる対応と、現場で手軽に取り組めるユニークな熱中症・夏バテ予防策をあわせて解説します!
1. 企業に義務付けられた「熱中症対策」とは?
労働安全衛生規則の改正により、一定の高温環境下(WBGT28度以上または気温31度以上で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業が想定される場合など)において、企業には以下の体制整備や手順作成が義務化されています。
作業の強度で変わる「WBGT基準値」とは
義務化の対象となるかどうかの目安となるのが、暑さ指数と呼ばれる「WBGT値」です。同じ気温でも、作業の強度が高いほど体への負担は大きくなるため、厚生労働省は作業強度ごとに基準値を定めています。また、暑さに体が慣れているか(暑熱順化)によっても基準値は変わります。
上の表のように、作業がきつくなるほど、また暑さに慣れていない人ほど、より低いWBGT値でリスクが高まる点がポイントです。詳しい基準値は、以下の厚生労働省のサイトでも確認できます。
① 報告体制の整備と周知
「体調がおかしいと感じた作業者」や「異変に気づいた周囲の社員」が、すぐに報告できる体制を整え、現場へ周知すること。
② 緊急時の対応手順(マニュアル)の作成と周知
体調不良者が出た際に迅速に対応できるよう、以下の内容をあらかじめ定めて周知しておくこと
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- 緊急連絡網および搬送先医療機関の連絡先・所在地
- 作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送などの具体的な応急措置手順
熱中症による死亡災害の多くは「初期症状の放置や対応の遅れ」が原因となっています。万が一の際に「誰が・何をすべきか」を明確にしておくことが義務付けられています。
熱中症対策を怠ると罰則はある?会社に科される罰則の内容
2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、対象となる作業環境で必要な体制整備を怠った場合、労働安全衛生法違反として6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。法人にも罰則が及ぶ両罰規定の対象です。
「うちは大丈夫」と思っていても、体制整備や手順の周知が不十分なケースは少なくありません。自社の対応状況に不安がある場合は、専門家への確認をおすすめします。
2. 働く人の「7割」が疲れを感じている!夏バテ・疲労蓄積のリスク
厚生労働省の調査によると、普段の仕事で、身体の疲れを感じている労働者は約7割(72%)にのぼり、約6割(59%)の人が「翌朝に前日の疲労を持ち越している」と回答しています。
夏場は暑さや睡眠不足により疲労が溜まりやすく、これを放置すると以下のようなリスクにつながります:
- 集中力低下による事故・ミスの増加
- 慢性的な体調不良や長期休職
- メンタルヘルスの悪化(疲労を持ち越す人ほど、うつ傾向や不安が強くなる傾向があります)
3. 【他社事例】今日からできる!手軽で効果的な熱中症・夏バテ対策
法的な体制整備はもちろん大切ですが、日常的に現場で取り組める予防策も欠かせません。
ここで、ある企業で実践されている注目のアイデアをご紹介します!
🍌 「塩バナナ」で手軽に水分&電解質補給! 熱中症・夏バテ対策として他社で効果を上げているのが、「バナナに塩を少しかけて食べる」という取り組みです。
- バナナ:汗とともに失われがちな「カリウム」(筋肉のこむら返り予防や疲労回復に効果的)や、体力を維持するエネルギー源が豊富です。
- 塩:汗で失われる「ナトリウム」を補います。
スポーツドリンクが苦手な方でも手軽に栄養補給ができ、おやつ感覚で熱中症予防ができるため、休憩室に「塩+バナナ」を用意しておくと社員にも大好評のアイデアです。
従業員が熱中症になった場合の休暇・給与の扱いは?
従業員が熱中症で欠勤した場合、その原因が業務によるものか(労災)、私生活によるものかで取り扱いが変わります。業務中・通勤中の熱中症は労災保険の対象となる可能性があり、私傷病であれば有給休暇や欠勤としての処理が一般的です。判断に迷うケースも多いため、個別の状況に応じた対応が必要です。
社労士からのアドバイス
熱中症対策や健康管理は、「法改正に沿った緊急時マニュアルの整備(義務への対応)」 と 「現場で楽しく取り組める予防環境づくり」 の両輪で進めることが成功のポイントです。
自社の作業環境で「緊急時の連絡・対応手順」が正しく周知されているか、ぜひこの機会に再点検してみてください!

