今年10月1日から、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)と求職者等へのセクシュアルハラスメント(以下、就活セクハラ)の対策が企業に義務づけられます。多岐にわたる対策が必要となるため、施行前に準備を進めることが望まれます。本稿では、企業が必ず行わなければならない防止対策について説明します。

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1.カスハラ対策で講ずべき10の措置

カスハラ対策は、改正労働施策総合推進法と関連の指針により義務化されます。職場でのカスハラとは、社会通念上許容される範囲を超えた顧客等の言動で、従業員の就業環境が害される行為とされています。ここでの「職場」とは、電話やSNSで行われるものも含まれます。また、「顧客等」には、駅、空港、病院、学校、福祉施設などの利用者やその家族、近隣住民、さらに取引の相手方なども含まれており、必ずしも取引関係があることが前提とはなりません。10月から事業主が講じなければならない措置は、次のとおりです。

◆事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する
カスハラの内容及びあらかじめ定めた対処の内容を、労働者に周知する
◆相談体制の整備
相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する
相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする
◆事後の迅速かつ適切な対応
事実関係を迅速かつ正確に確認する
被害者に対する配慮のための措置を適正に行う
再発防止に向けた措置を講ずる
◆対応の実効性を確保するために必要なカスハラの抑止のための措置
特に悪質と考えられるカスハラへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備する
◆そのほか併せて講ずべき措置
相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する
相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する

※出典:厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」

②の「対処の内容」とは、カスハラが発生した場合に、管理監督者に対応方針について指示を仰ぐ、できるだけ従業員1人だけで対応させない、犯罪に該当し得る言動は警察へ通報する、本社・本部等へ情報を共有し指示を仰ぐといった行動のことです。現場で迷わず対応できるよう、これらをマニュアルなどにまとめ、管理監督者と従業員に共有しておくとよいでしょう。

2.就活セクハラ対策で講ずべき11の措置

就活セクハラ対策は、改正男女雇用機会均等法と関連の指針により義務化されます。就活セクハラとは、従業員の性的な言動により、求職者等の求職活動が阻害される行為とされています。SNSなどを介した言動も対象となり、異性に対するものだけでなく、同性に対するものも該当します。また、対象となるのは求職者だけでなく、会社が実施する採用関連の活動に参加する人、教育実習、看護実習等の実習を受ける人も該当します。さらに求職活動には、採用面接や就職説明会、インターンシップへの参加、教育実習や看護実習等の実習受講、社員訪問も含みます。今年10月から事業主が講じなければならない措置は、次のとおりです。

◆事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
就活セクハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する
就活セクハラを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を、労働者に周知・啓発する
求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者及び求職者等に周知・啓発する
◆相談体制の整備
相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知する
相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする
◆事後の迅速かつ適切な対応
事実関係を迅速かつ正確に確認する
被害者に対する配慮のための措置を行う
行為者に対する措置を適正に行う
再発防止に向けた措置を講ずる
◆そのほか併せて講ずべき措置
相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者及び求職者等に周知する
労働者が事実関係の確認等に協力したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する

※出典:厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」

③の「求職活動等に関するルール」とは、面談のルールや時間、場所の指定、実施体制等です。⑤の「相談窓口」は、採用ページや募集要項への記載など、求職者が確認できる方法で周知する必要があります。また、⑤の相談窓口担当者については、求職者等が人事担当者から被害を受けた場合でも相談しやすいよう、人事部門以外の担当者を置くことも考えられます。

3.さいごに

今回義務となる措置には、方針の明確化や相談体制の整備、事後対応の手順づくりなど、複数の準備が含まれます。カスハラでは、主に社外の顧客等が行為者となります。一方、就活セクハラでは、自社の労働者の言動により、社外の求職者等が被害を受けます。いずれも社外の人との関係を前提とするため、従来の社内向けハラスメント対策をそのまま適用するだけでは、対応しきれない部分があります。

まずは、既存のハラスメント方針や相談窓口を確認し、顧客対応の手順、採用活動におけるルール、求職者等への周知方法など、不足している事項を整理することが大切です。カスハラ対策は従業員を守る職場づくりに、就活セクハラ対策は求職者が安心して選考や実習に参加できる体制づくりにつながります。こうした取り組みを円滑に進めるためにも、方針や規程、対応マニュアル等の整備について、お困りの際には弊所までご相談ください。

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