今夏も厳しい猛暑が予想される中、従業員の熱中症予防が企業の急務となっています。熱中症は屋外作業だけでなく、工場、倉庫、厨房、空調が十分でない屋内作業場などでも発生する可能性があります。そのため、業種にかかわらず、自社の職場環境に応じた対策が重要です。本稿では、職場の熱中症災害の最新状況と、予防の基本を紹介します。

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1.死傷病者1,803人

厚生労働省は5月27日、「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」を公表しました。熱中症による死亡者・休業4日以上の業務上疾病者の数は計1,803人で、前年に比べて約43%増え、統計開始(2005年)以降最多となりました。業種別では、製造業、建設業、商業、運送業、警備業が目立ちました。

職場における熱中症による死傷者数と死亡者数の年別推移を示すグラフ

※出典:厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」

死亡災害19件の被災場所は、屋外15件、屋内4件でした。職場における熱中症は屋外作業で多く発生していますが、屋内での死亡災害も確認されており、屋内作業だから安全とはいえません。

2.屋内でも要注意

熱中症は、炎天下での屋外作業だけでなく、オフィスや倉庫などの屋内でも発生することがあります。屋内では暑さを自覚しにくく、水分補給や休憩が後回しになりがちです。また、のどの渇きなどを感じにくいまま体内の水分が不足する、いわゆる「隠れ脱水」にも注意が必要です。口の中や唇の乾き、頭がぼんやりする、めまいや倦怠感があるといった変化がみられる場合は、早めに休憩を取り、水分・塩分を補給しましょう。

さらに、熱中症の発症には本人の健康状態も影響します。糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経関係の疾患、広範囲の皮膚疾患などがある人は熱中症のリスクが高まることがあります。2025年の職場における熱中症死亡災害19件のうち、糖尿病や高血圧症などの疾病や所見がある事例は9件に上りました。また、風邪、発熱、下痢といった一時的な体調不良のほか、二日酔い、睡眠不足、朝食を抜いた状態も、熱中症の発症リスクを高める要因になります。

会社は健康診断結果などの健康情報を適切に管理したうえで、必要に応じて産業医や医師等の意見を踏まえ、作業内容の見直し、休憩の確保、声かけなどの配慮を行うことが望まれます。

これらの注意点は、管理者だけでなく、職場全体で共有しておくことが重要です。従業員本人が無理をしてしまう場合もあるため、周囲が体調の変化に気づき、早めに声をかけられる職場づくりが、熱中症の重症化を防ぐことにつながります。万が一、熱中症と思われる人が出た場合は、以下を参考に対応しましょう。

熱中症が疑われる人が出た場合の応急対応の手順を示すフロー図

※出典:厚生労働省「働く人の命を守る ~職場における~熱中症予防基本対策のススメ」

3.さいごに

労働安全衛生規則の改正により2025年(令和7年)6月から、暑さ指数(WBGT)28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超える見込みの業務を行う場合には、従業員規模にかかわらず、事業者に報告体制の整備、対応手順の作成、関係者への周知が義務づけられています。さらに厚生労働省は2026年(令和8年)3月「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を公表し、対策を強化しています。本ガイドラインも参照しながら、今一度自社の熱中症対策を見直し、従業員への教育、水分・塩分補給の促進、休憩体制の整備、緊急時の対応手順の確認などを進めておきましょう。日頃から職場全体で熱中症予防への意識を高めておくことが従業員の安全確保につながります。

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