就業規則の周知ルールについて

就業規則は、社内に掲示または備え付ける等して、従業員がいつでもみられるような状態にしておかなければならない、というルールが労働基準法にあります。

最近ではペーパーレス化がすすんでいますので、就業規則のデータを社内サーバーに保管し、従業員がいつでもアクセス、閲覧できるようにしている会社が多いです。

さて、人を雇い入れるときに交付する雇用契約書や労働条件通知書には、契約期間、就業場所、業務内容、就業時間、賃金など必ず明記しなければならない項目以外については、「当社就業規則の規定による」としている会社様も多いと思いますが、このような記載でも問題ないのは、次の労働契約法第7条の規定が根拠になっているからです。

「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」

ごく簡単に要約しますと、

「就業規則を従業員に周知させていれば、就業規則に定める規定も労働契約の内容になる」

ということになりますが、ここでもやはり、就業規則を正しく周知させているということが大前提となります。

実際の裁判例について

これに関連した最近の裁判例をご紹介します。

運送会社で長距離トラックドライバーに従事していた労働者が、未払い残業代を請求した裁判です。

会社は、「運行時間外手当」などを時間外手当として支給すると就業規則に定め、当該従業員にも手当を支給していたので未払い残業代はないと主張していました。

裁判所は、就業規則が周知できていなかったため、会社の主張する就業規則の規定は無効だと判断し、会社に380万円の未払い残業代の支払いを命じました。

実はこの会社は当時、就業規則を額縁に入れて壁にひもでつるしていたと、社長が証言しました。

のちに額縁に入れていたのは表紙だけで、表紙以外はロッカーに保管していたと証言を変えましたが、裁判所は社長の証言は不自然だとし、結果、周知がされていなかったと判断しました。

このようにせっかく就業規則を作成、変更したのに、周知を怠ったことで規定が無効になったり、労基法違反として処罰対象になるというリスクがあります。

皆様の会社では、就業規則を正しく周知できていますでしょうか。

弊社では、経営者向け・従業員向けの説明会など、会社様のニーズに合った運用のサポートも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

(参考裁判例:東京高裁令和4年2月25日判決)