「え、それも労災になるの?」と言われる案件、実はたくさんあるんです。

労災と聞くと、「機械に巻き込まれた」「重い荷物を運んでぎっくり腰に…」など、いかにも“現場で起きた事故”というイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか?

ですが実際には、通勤中に起きたアクシデントや、オフィス内の“ちょっとした出来事”でも、労災として認められるケースはたくさんあるんです!

今回のコラムでは、実際に寄せられた相談や、社労士試験でも登場する事例から、

それもアリなんだ!」となる【これも労災?】なエピソードを5つ、クイズ形式でご紹介します。

同僚との話題に、社内研修ネタに、そしてもちろん労務リスク対策のヒントにも——

ぜひ、あなたも一緒に考えてみてください。

①カラスの逆襲!【通勤災害】

Q:

会社のすぐ近くに、子育て中のカラスの巣が…。

通勤中の従業員が頭をガッと突かれて負傷!これって労災になるの?

A:

通勤災害として労災認定されます!

→ 通勤経路上での偶発的な事故であっても、「通勤とケガに因果関係がある」と判断されれば、通勤災害と認定されます。

②野犬にガブリ!【通勤災害】

Q:

自宅に戻って昼食をとった後、職場に戻る途中で飛び出してきた野犬に噛まれた!これは労災になる?

A:

通勤災害として認められます!

→ いったん帰宅しても、就業先へ向かう行為は「通勤」として扱われ、合理的な経路上での事故なら労災に該当します。

社労士試験でも有名なケースですね。今どき野犬はあまり見かけないのでレアケースですね…。

③スーパーで買い物した帰り道に…【通勤災害:一部例外】

Q:

勤務終了後にスーパーで買い物。その後、会社とは反対方向にある自宅へ帰る途中で交通事故に…。これも労災?

A:

原則は対象外だが、合理的な範囲の買い物であれば通勤災害(労災)として認められる可能性が高い!

→スーパーでの買い物後に、そのまま自宅に向かう途中での事故であれば、通勤災害として労災保険の対象となる可能性が高いです。

ただし、例えば「買い物後に友人宅に立ち寄る」「遠回りをして別の場所へ寄る」など「私的な大幅な逸脱」がある場合は、そこから自宅に向かうまでの区間は「通勤」と認められなくなります。

 

④ 在宅勤務中に配達員のピンポンで階段から転落【業務災害】

Q:

テレワーク中に荷物の配達が来たので、慌てて階段を降りたら転倒してケガ!これって労災になる?

A:

状況によって判断が異なりますが、宅配の内容によっては労災となる可能性もあり!

労災認定の可能性がある場合

  • その荷物が業務関連の書類や機材だった場合
  • 会社から荷物を受け取るよう指示されていた場合
  • 業務時間中で、業務の一環として対応していた場合

 

労災認定が難しい場合

  • 完全に私的な荷物だった場合
  • 業務と関係のない私的行動と判断される場合

 

“私的な宅配”なのか、“業務に関係した物の受け取り”かが重要なポイント!

⑤社内イベントの余興でダンス中にギックリ腰【業務災害?それとも私傷病?】

Q:

社員総会での余興タイム。みんなでアイドルの曲を踊っていると…腰を痛めて動けない!これって業務災害?

A :

業務災害として認定される可能性あり!

→「業務の一環として会社の指示・承認のもとで行われたイベント」である場合、原則として業務災害と判断されます。

  • 会社の公式プログラムの一部(余興の出し物や全体参加ダンスなど)
    → 原則、業務上の行為と評価されるため、業務災害として認められる可能性大。

  • 完全に自由参加・任意の余興(「踊りたい人だけ前へ」など)
    → 強制性が弱いため、労災認定は微妙。ただし会社主催行事の流れの中であれば、認められる例もあります。

 

※参加が任意だったか、どれだけ業務と関係があるかがカギになります。

思わぬ場面で起こる「労災」、あなたの会社はどこまで対応できていますか?

今回ご紹介したように、「労災になる・ならない」の境界線は意外と身近にあります。

従業員の立場では想像もつかないような場面であっても、労災として認められる余地は十分にあるのです。

企業としては、「まさか…」の事例にも備えられるように、社内ルールや相談体制の整備、ハラスメント対応、在宅勤務ガイドラインなどを、今一度見直しておくことが大切です。

「うちのこのケースはどうなるの?」

「在宅勤務中の怪我はどう扱えば?」

そんな疑問があれば、ぜひ社労士にお気軽にご相談ください