永年勤続手当にも社会保険料がかかる?

比較的歴史のある会社様では、永年勤続手当や年末年始の出社に対しての正月手当があるかと思います。

永年勤続手当は、会社に長く在籍し、貢献してくれたことに対して一定の期間ごとに一時金を支給することが一般的です。またサービス業では年末年始の人手が不足する期間、出社してくれる社員に対して手当てを払うこともあると思います。

最近、これらの手当について社会保険料の対象となるか(賞与届の提出が必要か)、年金事務所とやり取りをしました。

社会保険の報酬(給与)の考え方

社会保険料の基礎に含める報酬(給与)は、次のように定められています。

この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。

この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。(健康保険法第3条 第5項、第6項・厚生年金でも同じように規定されます)

分かりやすく整理すると、

・報酬(給与)とは、労働の対象として受けるものすべてをいい

・賞与とは3か月を超える期間ごとに支払いを受けるものをいう。

ただし、臨時に受けるものについては報酬とはせず、社会保険料の計算の基礎には含めない、とされています。

インフレ手当の扱いとは?

永年勤続手当年末年始手当のような一時金を「臨時的なもの」と考えることもできますが、      年金事務所では「臨時的なもの」をきわめて狭く解釈をし、労働の対象として払われているものは、  「1回限りの支払いであっても、被保険者(社員)の生計に充てられる性質のもの」として、      名称等に関係なく社会保険料計算の基礎に含まれるとしています。

(令和3年4月1日事務連絡「標準報酬月額の定時決定および随時改定の事務取扱いに関する事例集」参照)

最近では、一時的な(臨時的な)手当の支給として、最近の物価上昇に対応しようと生活補助の一部として「インフレ手当(生活応援手当、物価手当など)」を支給する会社が増えているようです。       顧問先からもこの「インフレ手当」が社会保険料の対象となるか、聞かれることがあります。

インフレ手当も、会社ごとに支給要件、期間、1回に払われる金額などが異なると思いますが、     臨時的(1回限り)で継続して支給する予定がない場合でも、先に書いたように、

社会保険料の対象として含める必要があります。

通常は一時金で支払われることが多い手当として、入社時準備金(引越費用は除く)社長賞(報奨金)などが上げられます。

年金事務所の調査の際に社会保険料計算の基礎として指摘されると、                  過去にさかのぼって保険料の徴収を求められることがあります。

判断に迷ったとき、新しい手当を作る場合は、お気軽にご相談ください!