[賃 金] 中小企業の賃上げ状況

物価上昇や人材確保などに対応するため、企業の賃上げが進んでいます。
その傾向は、大企業だけでなく中小企業でも顕著です。本稿では、厚生労働省が今年10月に公表した「令和7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」から、中小企業の賃上げの動向について解説します。

1. 月1万円アップ

調査は今年7~8月、全国の常用労働者100人以上の民間企業3,643社を対象に行われました。有効回答数は1,847社、有効回答率は50.7%でした。

調査ではまず、「1人平均賃金」の変化についてデータを取りました。「1人平均賃金」とは、所定内賃金(諸手当等を含み、時間外・休日・深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当を含まない)の1か月1人当たりの平均額を指します。

「1人平均賃金」を令和7年中に「引き上げた・引き上げる」と答えた企業の割合は全体で91.5%。常用労働者100~299人の企業では89.7%となっています。

「1人平均賃金」の改定額と改定率は次のようになっています。100~299人の企業では、改定額が10,264円、改定率は3.6%でした。改定額は4年連続でアップし、改定率は令和6年の3.7%からは下がったものの、令和5年の2.9%と比べると高い水準となっています。

企業規模別の1人平均賃金の改定額・改定率(令和7年・令和6年比較)

– 参照 ※厚生労働省「令和 7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」

2. 厳しい経営状況

厳しい経営状況の中で賃上げに取り組む中小企業経営者

令和7年8月1日現在の企業活動についての回答を見てみると、企業規模が小さいほど、「業況が悪い」「販売数量が減少」「販売価格が下落」と答えた割合が高く、中小企業が厳しい状況の中で賃上げしていることがわかります。

厳しい経営状況の中、中小企業はどんな理由で賃金を改定したのでしょうか。賃金改定の要素として最も重視した項目について見ると、従業員規模100~299人の企業では、「企業の業績」(44.4%)や「労働力の確保・定着」(17.1%)を挙げる割合が高くなっています。

また、「雇用の維持」や「最低賃金」を重視する割合が、他の企業規模と比べて相対的に高くなっているのも特徴的です。

「雇用の維持」を最重視したのは、5,000人以上の企業で8.0%なのに対し、100~299人の企業では13.3%でした。「最低賃金」を最重視したのは、5,000人以上の企業で0.5%でしたが、企業規模が小さくなるに従って割合が高まり、100~299人の企業では3.8%でした。昨今の労働者不足や、最低賃金の上昇に苦慮していることが見て取れます。

2025年度の最低賃金は全国平均1,121円と過去最大の引き上げ幅に。都道府県別の改定日や企業が確認すべきポイントはこちらの記事をご覧ください。
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3. さいごに

100~299人の企業では、「定期昇給を行った・行う」と答えた割合は73.4%、「ベースアップを行った・行う」も53.5%でした。夏の賞与を「支給した又は支給する(額決定)」が86.7%、「支給するが額は未定」が5.6%でした。

民間企業の賃上げの傾向は、政府の後押しもあり、今後も続くとみられます。こうした状況のもとでは、合理性のある賃金体系や、賃金決定の基となる人事評価制度などを整備することが望まれます。弊所でもサポートしますので、いつでもご相談ください。

ご不明点やお困りごとがございましたら、お気軽に社労士法人Aokiまでお問い合わせください。

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