カスタマーハラスメントの現状と対応

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などからの不当・悪質なクレームによる著しい迷惑行為のことです。被害を受けた従業員は、その対応に追われて本来の業務ができなかったり、メンタル不調に陥ったりするケースも少なくありません。

本稿では、カスタマーハラスメントの実態や、厚生労働省の対応、企業が行うべき対策などについてお伝えします。

1.カスタマーハラスメント被害状況

企業の危機管理を支援する「株式会社エス・ピー・ネットワーク」が2023年7月に行った調査では、直近1年間にカスタマーハラスメントを受けた企業の担当者は、64.5%にも上りました。1年間に16回以上被害を受けた人も、3.1%いました。

また、この調査では、「土下座の要求」や「3時間以上の拘束」といった甚大な被害が多いことも判明。業界別では、卸売・小売(百貨店・スーパー・コンビニ)交通インフラ(鉄道・飛行機・バス・タクシー)で、50%以上が「執拗な言動」や「威圧的な言動」の被害にあったと答えました。

一方、カスタマーハラスメントについて、対策の方針がない企業が55.3%マニュアルがない企業も68.1%に上り、企業の対応の遅れが明らかになっています。

■直近1年以内に不当要求やカスハラの被害に何回くらい遭ったことがありますか。

カスタマーハラスメント被害回数の調査グラフ(2023年)

※出典:株式会社エス・ピー・ネットワーク「カスタマーハラスメント実態調査(2023年)」

2.厚生労働省の対応

厚生労働省は指針のなかで、カスタマーハラスメントについて、適切な対応のための体制整備、被害者への配慮の取り組みなどを推奨しています。

2022年2月には、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表し、企業の対応として以下のポイントを挙げました。

カスタマーハラスメントを想定した事前準備
基本方針の明確化、従業員への周知・啓発
従業員(被害者)のための相談体制の整備
カスタマーハラスメントへの対応方法の策定
社内対応ルールの従業員等への教育・研修
カスタマーハラスメントが起こった際の対応
事実関係の正確な確認と事案への対応
従業員への配慮
再発防止の取り組み
相談者のプライバシー保護、不利益取扱いを行わない旨を従業員に周知

※出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」より抜粋要約

さらに、2023年9月には、労災認定を行う際の「心理的負荷による精神障害の認定基準」を見直し、ストレスの原因となる業務上の出来事に「顧客や取引先、施設利用者等から受ける著しい迷惑行為」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加しています。

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3.さいごに

カスタマーハラスメントは、加害者が顧客や取引先であるため、企業としては対応に苦慮しがちです。一方、適切な対策を立てることは、従業員が安心して働ける環境づくりにもつながり、ひいては生産性の向上にも寄与します。

まずは、企業のトップが基本方針を示す必要があります。そのためにも、職場におけるカスタマーハラスメント被害の実態調査から始めることを、お勧めします。

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