産後パパ育休の取得率が年々上がってきています

近頃、顧問先様からも「産後パパ育休」のお手続き依頼がどんどん増えてきています。

産後パパ育休は、育児休業とは異なる新たな制度で、2022年10月以降、従業員から配偶者の妊娠・出産等の申出があったときには、産後パパ育休についても個別の周知や意向確認が義務付けられています。

ところが、顧問先様からも「従業員から産後パパ育休と育児休業の違いがよく分からないので、どちらを取得したほうがいいのか相談を受けることがあるのだけど・・・よく分からなくて・・・」との声を聞くこともしばしばあります。

そこで今回は労務担当者様が、制度の内容や育休との違いについて説明できるように、産後パパ育休の制度の5つの知っておくべき基本について解説していきます。

知っておきたいパパ育休の5つのpoint

下記の5つのPOINTについて解説していきます!

  1. 制度内容
  2. 対象者
  3. 申出期限
  4. 産後パパ育休と育児休業の違い
  5. 関連する法令などについて

制度内容

産後パパ育休は、子どもが生まれてから8週間以内(取得可能期間)に最長4週間(28日間)まで休業を取得できる制度です。

28日以内であれば、まとめて取得しても、分割取得(2回まで)しても構いません

ただし、分割取得を希望する場合はまとめて申し出する必要があります。

<まとめて取得するケース>

ケース①:子どもの出生後、妻が安静に産後を過ごし、夫婦で協力して子育てをスタートするために取得

ケース②:里帰り出産から妻と子どもが自宅に戻るときに取得

<分割して取得するケース>

ケース③:出生直後と少しあいだを空けてから取得

取得可能期間は、原則子どもの出生日から8週間以内ですが、従業員が出生日から休業するためには出産予定日を出生日として申出がなされるため、出産予定日と実際の出生日が前後する場合は、取得可能期間が変動します

出生予定日より早く(遅く)出生した場合は以下を参考してください。

 

★POINT

・取得可能期間は変動しますが、取得可能期間のうち取得可能な日数(28日間)は変動しないので注意してください。

・産後パパ育休の対象となる「子ども」には、実子・養子の他に以下の子どもも含まれます。

  • 従業員が特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求しており、監護期間にある子ども
  • 養子縁組里親である従業員に委託されている子ども
  • 従業員が養子縁組里親として委託することが適当と認められているが、実親等が反対したことにより、その従業員に養育里親として委託されている子ども

対象者

子どもが生まれてから8週間以内の子どもを養育する従業員

※労使協定を締結する場合は、一定の従業員を産後パパ育休の対象外とすることができます

<労使協定の締結で対象外にできる従業員>

  • 入社1年未満の従業員
  • 申出の日から8週間以内に労働契約が終了することが明らかな従業員
  • 1周間の所定労働日数が2日以下の従業員

★POINT

・日雇い労働者や有期契約労働者で子どもの出生日または出産予定日から8週間を経過する日の翌日から6か月経過する日までに労働契約の期間が満了し、更新されないことが決定している場合は対象外です。

・対象者は、法令等上「労働者」に限定されているため、役員は対象外です。

申出期限

産後パパ育休の申出期限は、原則、休業開始日の2週間前までです。

なお、雇用環境の整備などについて法令等を上回る取り組みについて労使協定を締結することで、 現行の育児休業と同様に、原則の2週間前から最長1か月前までを申出期限とすることができます

従業員の申出が申出期限より遅れた場合会社が申出日の翌日から起算して2週間を経過する日までのあいだで休業開始日を指定することができます。

また、以下のような特別な事情が発生した場合は、 従業員は休業開始の1週間前までに申し出ることができるため、理由を確認してください。

  • 出産予定日より早く子どもが生まれたとき
  • 配偶者が死亡したとき
  • 配偶者が病気やケガで子どもを養育することが困難になったとき
  • 配偶者が子どもと同居しなくなったとき
  • 子どもが病気やケガ、障害により2週間以上の世話を必要とする状態になったとき
  • 保育所の利用を申込みしたが、すぐ利用できないとき

産後パパ育休と育児休業の違い

従業員は「産後パパ育休」と「育児休業」のいずれも取得できます。

産後パパ育休とは、子どもが生まれてから8週間以内に最長4週間(28日間)まで休業できる制度

育児休業とは、原則として1歳(条件によっては2歳)までの子どもを養育するために休業できる制度

子どもが生まれてからの8週間については、従業員はどちらかの制度を選んで休業を取得します。

8週間を経過した日以降は、育児休業のみ取得できます。

<産後パパ育休を取得するとできること>

  • 産後パパ育休後に育児休業の取得ができ、子どもが1歳になるまでに最大4分割して取得できる
  • 休業中にあらかじめ決められた就業ができる(労使協定が必要)

※役員は「産後パパ育休」「育児休業」いずれも取得できません。

関連する法令等

従業員が安心して産後パパ育休の申出ができるように、産後パパ育休に関連する法令等についても事前に確認しておくのが重要です。

【雇用環境の整備】

従業員が育児休業・産後パパ育休の申出をスムーズに行うことができるよう、以下のいずれかの措置(複数可)を準備しなければなりません。

  • 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  • 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  • 自社の従業員の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  • 自社の従業員へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

【個別周知と意向確認】

従業員から配偶者の妊娠・出産等の申出があったときは、育児休業・産後パパ育休に関する制度について知らせなければなりません。
また、育児休業・産後パパ育休の取得の意向があるかの確認が必要です。

<周知事実>

  • 育児休業・産後パパ育休に関する制度
  • 育児休業・産後パパ育休の申出先
  • 育児休業・出生時育児休業の給付金に関すること
  • 従業員が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取扱い

<周知の方法>

  • 面談(オンラインも可)
  • 書面での交付
  • FAX
  • 電子メールや社内コミュニケーションツール

パパ育休中にお知らせしておくべきこと

今回はパパ育休についての5つの基本事項についてご紹介させて頂きました。
お子様が出生された後は様々な種類の役所への手続きもあるので、その点も含めてパパ育休の需要は
益々高まっていくかと思います。
パパ育休を取得される従業員様には、「出産後に役所に提出すべき書類について」というコラムを別途、公開しておりますので、そちらもご活用してください!