今回のテーマについて

7月に入り、暑い日が続いたかと思えば梅雨らしい日もありと、なんだかスッキリしない天気が続いています。㈱ウェザーニュースによると、関東地方はもう梅雨明けしたようですね!本格的な夏がもうすぐ始まりますね。

さて、毎年この時期の人事・労務の大切な手続きとして、
「労働保険」の年度更新「社会保険」の定時決定(算定基礎届)があります。
今回の社労士コラムでは、その中で「労働保険」の年度更新を取り上げてみます。

労働保険の解説

「労働保険」とは労働者の保護及び雇用の安定を図ることを目的とした、国が運営する社会保険制度の1つです。
労働保険は労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険を総称したものであり、正社員、パート、アルバイトなど雇用形態にかかわらず、労働者を1人でも雇っている事業場は成立手続が義務付けられています。

労災保険(労働者災害補償保険」は、
労働者が仕事(業務)や通勤が原因で負傷した場合、
また、病気になった場合や不幸にもお亡くなりになった場合に、被災労働者やご遺族を保護するための給付等を行っています。
雇用保険」は、
労働者が失業した場合や育児・介護のために休業した場合、
また、自ら教育訓練を受けた場合に、生活・雇用の安定と就職の促進を図るための給付等を行っています。

そして「労働保険料」は、労働者に支払う賃金の総額と、保険料率(労災保険率+雇用保険率)から決まります。
労働保険料のうち、労災保険分は全額事業主負担、雇用保険分は事業主と労働者双方の負担になります。

年度更新とは…?

年度更新は、前年度に納めた「労働保険料」を確定保険料として申告し、新年度の概算保険料(見込みの金額)の申告・納付とともに精算する手続きのことを言います。

この手続きを例年6月1日から7月10日まで(土日祝日を除く)に行わなければなりません。
遅れると企業が支払うべき保険料と拠出金額を政府が決定してしまいます。
さらに、保険料と拠出金の10%程度に当たる追徴金を課される可能性もあるため、
申告は必ず期間内に行いましょう。

※2024年度は、6月1日が土曜のため、6月3日〜7月10日が年度更新期間となりました。

「労働保険料」を確定するためには賃金総額を正確に把握することが必要です。
例えば、労災保険は正社員、パート、アルバイトなど雇用形態に関わらず全ての従業員が対象になりますが、雇用保険は一定以上の期間と労働時間がある従業員が対象となります。
つまり、雇用保険の被保険者でない従業員に支払った賃金がある場合は、労災保険にかかる保険料と雇用保険にかかる保険料を区別して算出した上で合計する必要があります

計算に使用する保険料率は、労働保険・雇用保険それぞれで業種別に定められています。
保険料率は年度で変更されることがあるため、必ず最新の保険料率を確認して計算しましょう。

¥マークの注意点

最後に皆さんは「労働保険料」の納付書の書き方について「あれ?」って思った事ないですか?
金額の最初に「¥」ではなくて「(¥の一本ないやつ)」を記入するようになっています。


もし2本線のマークを記入してしまうと、新しい納付書への書き直しが必要です。

一体なぜなんでしょう?
一説には、納付書の金額をOCRで読み取る際に記載されている数字は、「ここまで」という留めの意味だと言われています。
でも、所得税の納付書にはちゃんと「¥」を記入しますよね。
税務署と労働局では使用するOCRが違うんでしょうか。
私も初めて年度更新の書類を作成したときに誤って記入し、銀行で指摘されてあわてた覚えがあります。
みなさんはその様な事がないよう十分お気を付け下さいね。

参考:

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/tokusetusaito.html
OBC360° 

https://www.obc.co.jp/360/list/post169