定額残業代ができた背景
定額残業代とは、文字通り一定の金額・一定の時間により残業代を支払うことを言います。
この、定額残業代が制度として出来た背景について、
「残業は毎月これぐらいするのが実態なので、あらかじめその時間分を定額で払ってしまう」
と言うことで、労働集約型の仕事をしている業種、社労士事務所の弊社は、正に自分事として
45時間ぐらいの定額残業制度を導入し、「未払い残業代はクリアね」と、胸を張って来ていました。
コロナ禍での情勢変動
ところが、弊社でもコロナにより働き方(在宅ワーク・フレックスなど導入)が全く変わってしまった現在、残業時間がほぼゼロの状態になっています。
働き方が変わっただけでなく、テクノロジーの進化により業務も電子化が進み、
役所に書類を出しに行く事も無く、業務も標準化が進み手作業が少なくなり、
本当に無駄が少なくなりスマートな働き方になりました。
労働保険料の年度更新、算定の時の夜中までの作業が嘘のように無くなり、定時で帰宅するのが当たり前の状態になっています。
これは、うちの事務所だけでなく業界的にどこの事務所もほぼ同じような現状だと思います。
また、更に罪深いのは、
これしかないと思って顧問先に同じ制度を提案し導入してきた経緯があります。
そのような顧問先からは、コロナにより業務が激減し、残業も全く無くなり、実態と合わない賃金を減らしたいと思っているとのご相談もあります。
当たり前の様にこれしかないと思ってきた、この制度をリスクなく廃止或いは実態に即した見直しをしたいと、思っている企業は相当数いると思います。
これから、一方的な不利益変更と言われない定額残業代の制度整理・見直しの時期と言えそうです。
勿論、まだまだ定額残業制度が生きている業種もありますが・・・。
代表社員 青木 幸江