アルバイトの戦力化のために
4月から夏休み前の7月までの間、多くの新入学生がアルバイトを始めることから、厚生労働省では同期間に「『アルバイトの労働条件を確かめよう!』キャンペーン」を実施しています。
本稿では、キャンペーンの重点項目を記載するとともに、アルバイトの戦力化について一例をご紹介いたします。
1.キャンペーンの重点項目について
厚生労働省では、重点的に呼びかける事項を各種学校や事業主団体等に協力依頼をして周知・啓蒙に努めています。その内容は以下の通りとなります。
書面による労働条件の明示
雇い始めてから、「最初の話と違う」といったトラブルが起こらないように、会社から労働条件通知書などの書面を交付し、労働条件を明示する必要があります。特に次の7項目については必ず書面で明示しなければなりません。
| 書面で明示すべき7項目 | |
|---|---|
| ① | 契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること) |
| ② | 契約期間の定めがある契約を更新する際のきまり(更新の有無、更新上限、更新する場合の判断のしかたなど) |
| ③ | どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容、これらの変更の範囲) |
| ④ | 勤務時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交代制勤務のローテーションなど) |
| ⑤ | バイト代(賃金)はどのように支払われるのか(バイト代の決め方、計算と支払いの方法、支払日) ※バイト代などの賃金は都道府県ごとに「最低賃金」が定められており、これを下回ることはできません。また、高校生アルバイトや雇入れ後の研修期間中も、最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。 |
| ⑥ | 辞めるときのきまり(退職・解雇に関すること) |
| ⑦ | その契約期間内に労働者が労働契約法第18条第1項の無期転換申込みをすることができることとなる有期労働契約の締結の場合においては、無期転換申込みに関する事項及び無期転換後の労働条件 |
シフト制労働者の適切な雇用管理
学生は学業が本分であり、学業とアルバイトが適切な形で両立できる環境を整えるよう配慮する必要があります。使用者が一方的に急なシフト変更を命じることはできません。
労働時間の適正な把握
アルバイトも、労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する必要があります。
商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
アルバイトが希望していないのに、商品を強制的に購入させることはできません。
信頼関係の維持・向上等
アルバイトの遅刻や欠勤などによる労働契約の不履行や不法行為に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることはできません。
※出典:厚生労働省「『アルバイトの労働条件を確かめよう!』 〜キャンペーン実施中〜」
2.アルバイトの戦力化について
前述の記載は基本的に法律に則ったルールですが、法律を守っているだけでは、アルバイトが戦力として機能するわけではありません。
特に働いたことのない新入学生が立派に働けるようになるには、それなりに受け入れ側の対応が必要となってきます。以下にいくつか効果的な施策の例を記載いたします。
ウェルカムオリエンテーションの実施
新入学生をアルバイトとして採用した際に、ウェルカムオリエンテーションを実施することも一案です。このオリエンテーションでは、企業文化の紹介、職場のルール、働く上での期待値の共有などを行い、新入学生がスムーズに職場に溶け込めるようサポートします。また、仕事の基本的な流れや、安全に関する重要な指示もこの機会に伝えると良いでしょう。
メンター制度の導入
新入学生に経験豊富なアルバイトスタッフや正社員をメンターとして割り当て、仕事のコツや職場での振る舞い方など、実務に必要な知識やスキルを伝授します。メンターが、新入学生の不安や疑問に耳を傾け、個々の成長をサポートすることで、新入学生は早期から自信を持って業務に取り組むことができるようになるでしょう。
成功体験の積極的な提供
新入学生がアルバイトを通じて早期に成功体験を得られるよう、小さな成果でも積極的に評価すると良いでしょう。また、優れたアイデアを提案した新入学生をミーティングで評価するなど、努力と成果を公に認めることも大切です。このような経験は、新入学生の自信を高め、長期的に職場へのコミットメントを促す効果があります。また、他のアルバイトスタッフとの良好な競争と協力を促し、全体のモチベーション向上にも寄与します。
3.さいごに
このような施策を通じて、新入学生がその職場を気に入ったなら、学校の友人をアルバイト先として紹介してくれるかもしれません。そうなれば、採用コストの削減や労働力不足の改善、職場コミュニケーションの向上にもつながるかもしれません。
法定の対応を行うことは当然として、次のステップとして法定外の施策を検討し、実施してみてはいかがでしょうか?

