はじめに
「年5日の有給休暇取得義務化」がスタートしてから数年が経ちました。
各企業とも取得率は上がってきたものの、年末に有給が余って慌てて取得させるという課題はまだまだ根強く残っていますね。
特に10月以降は下半期が始まったばかりで、残日数を意識させながら計画的に消化を進める絶好のタイミングです。ここで手を打つことで、年度末に無理やり休ませる必要がなくなり、職場全体の働きやすさにもつながります!
ということで…今回は有給促進のポイントとユニークな他社事例をご紹介します!
有給休暇促進のポイント
まずは、法律で義務づけられた「年5日の有給休暇取得義務化」の振り返りから。
✍2019年4月施行の改正労働基準法により、 年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、年間5日の取得が義務化されました。 この5日には計画付与や会社指定日による取得も含めることが可能ですが、取得させなかった場合は企業に罰則(30万円以下の罰金)が科される可能性があります。
✅️POINT
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<有給休暇促進のポイント>
1.取得状況の「見える化」
まずは現状把握から!
個人別の取得状況を一覧化し、管理職や本人に共有します。
社内ポータルや給与明細に「残日数」「義務取得までの残日数」を表示すると、従業員の自発的な取得を後押しできるので活用するのも◯。
2.計画的付与制度の活用
会社があらかじめ休暇取得日を指定する「計画的付与制度」を導入すると、年末年始やGW、夏季休暇に合わせて全員一斉に取得させることが可能です。
下半期から導入を検討する場合は、労使協定の締結と従業員への周知が必須です。
3.取得推奨キャンペーン
「リフレッシュ休暇月間」「有給取得推進ウィーク」など、社内キャンペーンを打つのも効果的。
取得状況の優秀部署を表彰したり、旅行補助を用意したりするなど、ポジティブな仕掛けが社員のモチベーションを高めます。
4.取得しやすい職場環境づくり
とはいえ制度を整えるだけでは不十分なのが実情です。ですので…
- 上司が率先して休暇を取得する
- 会議や納期を調整しやすいチーム体制をつくる
- 繁忙期を避けた交代取得ルールを整備する
といった「心理的ハードル」を下げる取り組みが、取得率アップのカギとなります。
他社/制度の実際の事例
厚生労働省などでも、有給休暇取得促進のための企業の取組事例が多数紹介されています。
(参照:働き方・休み方改善ポータルサイト)
今回は、その中でもいくつか特徴的なものをピックアップしてご紹介します!
繰越分をカットしない/有給を取りやすくする制度運用と併せて取得推進を図る。 |
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労使トップによる宣言を行い、「有休取得率100%」を目指す目標を社内で打ち出した。 |
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旭カーボン株式会社様 |
“4段階のステップ”方式で取得促進を進め、段階的に取得率を引き上げていった。 |
フクヤ建設株式会社様 |
休みを取りやすくする環境づくり+余暇制度を整備し、取得機会を物理的・心理的に確保。 |
<ユニークな社内キャンペーン・プロモーションのアイディア>
ここからは、これらの事例を参考にして、人事担当者が取り入れやすくユニークな「有給休暇取得推奨キャンペーン」のアイディアをAIに聞いてみたので、ご紹介します!
★「有休チケット」配布
有給休暇取得用の“チケット”(例:「半日休暇」「1日休暇」)を社員に配布し、期限内に使うことを促す。使用しないと“プレゼント抽選権”などちょっとした得があるとモチベーションアップになる。
★「管理職の率先取得宣言」キャンペーン
部長・課長など上司が先に有休を取得することでモデルになる。取得証や写真付きで社内報やポスターで見える形にして宣言させる。
★部署対抗取得率チャレンジ
各部署で取得率を競う。最も取得率が高かった部署には特別休暇、飲食券、社内表彰などの報奨を付与。
★「リフレッシュ休暇日」制度
「3連休をとるとボーナス休暇1日」など、まとまった休暇取得を促す制度。連続取得を奨励し「休みを取ること=プラスの価値がある」という印象を強める。
★有給取得計画表を「見える化」
カレンダー形式で部署ごとに有給取得予定を共有。繁忙期に取りにくい日は除き、早めに予定を立てさせる。
★「休み準備サポート」パッケージ
休暇に入る前の業務引継ぎテンプレートを整備/共有し、引継ぎでのストレスを減らす。休み取得に対する心理的障壁を下げる工夫。
★社内イベントと連動させる休暇推奨
社内イベント(創立記念日・会社フェスなど)の前後に「休暇取得ウィーク」「有給取得応援デー」を設け、その時期に休みを取りやすくする。
⚠️成功のポイント・注意点
他社事例やキャンペーンを見ていて”これはうまくいっている”と感じる共通点と、逆に注意すべきことも整理しておきます。
- トップ・管理力の発信:リーダー層が実際に休暇を取得し「休んでもいい」というメッセージを発信する。
- 見える化:取得率/残有休を定期的に共有し、部署や個人で状況がわかるようにする。
- 柔軟性のある制度設計:半日・時間単位・特別休暇など、従業員の事情に応じた選択肢を用意する。
- 業務調整のフォロー体制:休みを取ることで業務が滞らないよう、引き継ぎ・代替体制をあらかじめ用意する
- 心理的な抵抗を下げる雰囲気づくり:休暇取得を”当たり前”、有休を使うことも後ろめたくない雰囲気にする取り組み(ポスター、社内ニュース、成功事例の共有など)
まとめ
有給休暇の取得促進は、従業員の健康・生産性向上と企業の法令遵守の両面で欠かせません。
10月から動き出すことで、年末に慌てて調整する必要がなくなり、職場全体の余裕を生み出せます。
- 有給休暇の取得状況の見える化
- 計画的付与や社内キャンペーン
- 管理職の率先的な有給休暇の取得
これらを今から仕掛け、従業員が安心して休暇を取れる環境を整えていきましょう。