安全衛生:企業の熱中症対策
暑い日が続いていますが、従業員の熱中症対策は万全でしょうか?仕事中に従業員が熱中症にかかると、深刻な労働災害に発展する懸念もあります。今年6月からは、熱中症対策が企業の義務になっています。本稿では、帝国データバンクが今年5月に公表した「熱中症に関する企業の実態アンケート」の結果とともに、熱中症対策の義務化について概要をお伝えします。
1. 95.5%が熱中症対策を実施
「熱中症に関する企業の実態アンケート」は今年5月に行われ、1,568社から有効回答を得ました。回答した企業の95.5%が何らかの熱中症対策を行っており、対策の内容(複数回答)では、クールビズの実践が70.5%で最多でした。
| 対策内容 | 割合 | 対策内容 | 割合 |
|---|---|---|---|
| クールビズの実践 | 70.5% | 熱中症に関する報告体制の構築 | 15.2% |
| 扇風機やサーキュレーターの活用 | 60.7% | 搬送先など緊急連絡先の周知 | 13.0% |
| 水分・塩分補給品の支給 | 55.7% | 休憩時間の追加延長 | 12.2% |
| ファン付きウェアやサングラスの活用 | 36.9% | 遮熱シートや塗装の使用 | 10.5% |
| 空調設定の見直し | 30.4% | 時差出勤やフレックスタイム制の導入 | 9.8% |
| 空調設備の増設 | 27.2% | リモートワークの強化 | 6.3% |
| 熱中症予防・重篤化防止の学習と周知 | 23.1% | 職場巡視やバディ制、ウェアラブル機器などによる熱中症の把握 | 4.8% |
※帝国データバンク「熱中症に関する企業の実態アンケート」より
「真夏日手当」「熱中症対策手当」を支給する企業(建設)や、7~9月の外出を伴う営業活動を自粛して、web打ち合わせに切り替える企業(卸売)もありました。また、「現場へ出向いての外作業がメインのため、ここ数年、毎年何名かは熱中症で体調を崩している。会社も重篤事項と考えている」(医療・福祉・保健衛生)という声も寄せられました。
2. 今年6月から対策義務化
厚生労働省の調査によると、職場での熱中症による死傷者はここ数年増えており、2024年は死傷者数1,257人で、うち31人が亡くなりました。こうした状況を受け、改正労働安全衛生規則が今年6月1日に施行され、熱中症を防ぐ対策が企業の義務となりました。対策を怠ると、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性もあります。
対象となるのは、暑さ指数(WBGT)(※)28度以上または気温31度以上の場所で、連続1時間以上または1日4時間を超える見込みの業務です。対象は限定されていますが、これにかかわらず、広く対策を講じることが現実的です。
※暑さ指数(WBGT)…熱中症予防を目的とした指標で、人体と外気との熱のやりとりに着目し、「湿度」「日射・輻射などの周辺の熱環境」「気温」の要素を取り入れたもの。
義務となったのは、熱中症の重症化を防ぐための体制整備、手順作成、関係者への周知の3点です。
体制整備とは、熱中症の発生に備え連絡先や担当者を決めておくことです。手順作成は、緊急連絡網の整備や緊急搬送先の確保、熱中症にかかった人を作業から離脱させ、身体を冷却し、医療機関へ搬送するといった流れをまとめておくことです。そして、これらを従業員など関係者に周知します。
また、「熱中症に関する企業の実態アンケート」でも回答があった「職場巡視やバディ制(※)、ウェアラブル機器などによる熱中症の把握」も重要です。厚労省も、熱中症の早期把握に努めるよう呼び掛けています。
3. さいごに
「熱中症に関する企業の実態アンケート」では、熱中症対策の義務化について、「詳しく知っている」が15.6%、「なんとなく知っている」が39.5%、「聞いたことがある」が18.6%、「知らない」が26.3%でした。義務化の対象となる作業が多く見込まれる建設、製造、運輸・倉庫などの業種では認知度が高いものの、義務化されたこと自体を知らない企業も多いようです。まずは、厚労省のホームページに目を通すことをお勧めします。
どのような業種でも、営業活動をはじめ、暑い時期に外で仕事をする場面はあります。この夏、熱中症対策を見直してみてはいかがでしょうか。活用できる政府の支援策もあります。弊所でもアドバイスしますので、いつでも相談してください。
熱中症対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。
ご不明点やお困りごとがございましたら、お気軽に社労士法人Aokiまでお問い合わせください。

